白水社「ブラック・フラッグス」を読みました。

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白水社ブラック・フラッグス」を読んだ。

 

いやはや、「知らなかったこと」を「知る」っていう単純過ぎて気にも留めなかった大切な姿勢を、あらためて忘れてはいけないと思い知らされた1冊。

 

この本で一番に考えたこと。それは「知っていること」や「こうあるべきと考えること」を補完するために情報を集め、判断し、行動に移すことに慣れきってしまう恐ろしさが、未知の脅威を産むということ。(それがアルカイダでありイスラム国であった)そして、高度な情報化社会が進めば進むほど、その情報を読み解く(選択する)難しさはより難しくなるということだった。その難解な世界を解く鍵は答えはどこにあるのか。その答えは結局「現場」にしかないということが本書でも明確に書かれている。多くの良心的なアメリカ外交官が現地(現場)から本国へ警鐘を鳴らしていたにも関わらず、本国国内の情勢や理論で黙殺された続けた事実は大きい。また、警鐘を鳴らし続けた人々がいたという事実を「今こそ」知る意味もまた大きい。

 

9.11→イラク戦争→シリア内戦→ISISの台頭の流れはアメリカや西欧諸国の致命的判断ミスが生み出したということ。そのミスはどこで起こったのか。そして、今の日本。ミサイルを撃ち込まれたらどうするのか。悪いのはあの国だ。圧力しかない。と近視眼的で対処療法的で稚拙な議論のみが活発になりがちな今こそ、イラク戦争の時のアメリカや西欧諸国の間違いを再確認する必要がある。さもなくば、同じ悲劇を日本のすぐ隣国で、日本が当事者となって繰り返すことになる。その過ちを繰り返さないために、今1番読まれる必要があるのが、この「ブラック・フラッグス」だ。

 

そして何よりも、私自身、果たして、自分の心地よい情報しか選択していないのではないだろうか。もう一度立ち返って考えたいと思う。