『階段を下りる女』(新潮クレスト・ブック)を読んだ。

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『階段を下りる女』(新潮クレスト・ブック)を読んだ。

あの時、あのようにしていたら。。。
いったい人生はどうなっていたのだろうか。

2人の中年男と1人の女。40年前の「あの時」を胸に秘め再会する3人。

不意に訪れたその再会から、あの時の自分を取り戻そうとする。しかし、その40年間に世界は変わり、またそれぞれの人生もあの時から大きく変わった。そして、徐々に明らかになる壮絶な女の人生。

安定か冒険か。金か名誉か。正義か諦めか。

静かに語られる、その後の3人の人生を通じて、取り戻せない「過去」と「今」に向き合うことの刹那さを強く感じる1冊。

「別の結末を求めていたら別人じゃなきゃいけない。」P.102

そうなのだ。でも、振り返らずにはいられない過去。私と同じく、思い出す数々の「過去」とそんなはずじゃなかった「今」を行き来する、40代の人に読んでほしい1冊。

それにしても、重くなりがちな心象風景を短いセンテンスでサラリと、しかし、飽きることなくグイグイ読ませる日本語訳が素晴らしい。