ETV特集「長すぎた入院 精神医療・知られざる実態」を観た

ETV特集「長すぎた入院 精神医療・知られざる実態」を観た。

 

余りに酷すぎる日本の精神医療の実体。憲法改正より、考えなくてはいけないとこが、まだまだ数多くあるのだと強く思う。原発事故も、精神疾患のある方のことも、忘れてしまうというより、忘れたい、見たくないという気持ちが、どことなく蔓延する社会。日本人はまだまだ未熟だ。

https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/20/2259602/index.html

 

『さようならオレンジ』岩城けい著を読んだ。

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『さようならオレンジ』岩城けい著を読んだ。

 

読んでいる最中、そして読後、こんなに力強く気持ちを掴まれた本を読んだのは久しぶり。

 

今の一般的な日本作家にはないセンテンスの長さと、感情よりも情景や風景を細かく描写することで立ち上がってくるサリマとハリネズミ(サユリ)の深い心情の変化は、外文と日文の良いところを併せ持った、岩城けいさんだけにしか書けない深く心に残る文章。私も大好きな小野正嗣さんが解説を書いてるのも嬉しい。

 

そして何より「生きるということ」を異国で、母国語すら通じない世界で生きることを通じて、しっかりと真っ直ぐに投げかけてくれる一冊。読後、これほど読者の日常を勇気付けてくれる本は最近、見当たらない。二人がたどり着いた力強い言葉「根付くということ」「人のせいにはしないということ」「会うべき人に会いすべきことをするためにここへ来た」はどの人の心をもしっかりと暖めてくれるはず。

 

 そこで、ちょっと私自身の話を。出身は新潟、大学は北海道、その後は上京し、10年前から千葉在住。大学時代は若者特有のモラトリアムからか、ここでは無いどこかを求めてバックパックで北欧やフランス、イギリスを転々と旅行。その後、写真家を志して上京。しかし、そんな土地に根付かない生活の私が撮る写真はどこか空々しく、「普通のお父さんが取った自分の家族写真」の「やさしさ」や「真実さ」がまぶしく、結局写真での生活をあきらめてしまった。で、現在、縁もゆかりも無い千葉県に家族と共に生活をしている。そして、二年前から、地元のとあるスポーツのクラブに思い切って参加。今では街を歩いていても、70過ぎのおばあさんや単身赴任してきている30代の男性、定年退職したご夫婦、学生など、多くの人に声を掛けられて過ごしている毎日。それがどんなに嬉しく、心が落ち着くことか。10年経って、やっと生きる場所に根付いたなぁといった感覚を持つことができたこの頃。サリマやハリネズミとは比べ物にはならないくらい小さなことではあるが、自らの生きる場所を自らの小さな一歩から作るという大切さを、この本を読んだあとだからこそ改めて感じることができた。

 

とにかく、良い本というのは日常をガラリと変えてくれるもの。そんな力強い一冊に出会えたこと、そして北陸でこの本を薦めてくれた書店員さんとの不思議な縁に感謝したい。

『家族最後の日』植本一子著を読んだ。

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『家族最後の日』植本一子著を読んだ。

賛否ある。嫌悪感も時々ある。特殊な人たち、家族だとも思う。しかし、目が離せない。正直に語ること、自らをひけらかす事がこんなにも心を掴むとは思いもしなかった一冊。自分にも、自分の家族にもどこか同じ感覚があるのかもしれないからこそ、この日記に惹かれるのかもしれない。

旦那さんのECD著『ホームシック』(ちくま文庫)も、つい買ってしまった。まだまだこの家族の今後を見ていきたい。

『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』を読んだ。

『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)矢部宏治著を読んだ。

自分に都合の良い感情論や主観論ではなく、あくまで条約に基づいた太平洋戦争後の日本支配の実情と現状を、論理的に読み解くとこうなるよね、とスパッと見せてくれる力作。

『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(集英社インターナショナル)の2冊の総集編、ダイジェスト版のような今作。

終戦から今現在まで、アメリカという擬似国連がいまだ支配している日本。法治独立国家とすらいえない国。うすうす感じていたけど、やはりそうなんだと改めて納得。次作は同じ状況の他国(フィリピンなど)はどう消化し、どう自らを律したのかを下敷きに、今後、日本はどうすべきかに触れるとのこと。期待したい。

『階段を下りる女』(新潮クレスト・ブック)を読んだ。

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『階段を下りる女』(新潮クレスト・ブック)を読んだ。

あの時、あのようにしていたら。。。
いったい人生はどうなっていたのだろうか。

2人の中年男と1人の女。40年前の「あの時」を胸に秘め再会する3人。

不意に訪れたその再会から、あの時の自分を取り戻そうとする。しかし、その40年間に世界は変わり、またそれぞれの人生もあの時から大きく変わった。そして、徐々に明らかになる壮絶な女の人生。

安定か冒険か。金か名誉か。正義か諦めか。

静かに語られる、その後の3人の人生を通じて、取り戻せない「過去」と「今」に向き合うことの刹那さを強く感じる1冊。

「別の結末を求めていたら別人じゃなきゃいけない。」P.102

そうなのだ。でも、振り返らずにはいられない過去。私と同じく、思い出す数々の「過去」とそんなはずじゃなかった「今」を行き来する、40代の人に読んでほしい1冊。

それにしても、重くなりがちな心象風景を短いセンテンスでサラリと、しかし、飽きることなくグイグイ読ませる日本語訳が素晴らしい。

 

竹原ピストル。


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最近、年甲斐もなく、竹原ピストル

と思ったら、同い年で同じ頃同じ札幌で学生をしていたと。それだけで友達のような。

それにしても、しぼんだ心に突き刺さるだみ声は強く優しい。

年を重ねると諦めたものがはっきり見えてくるし、日々、余計に後ろめたさが増して辛い。そんな時にピストル。

「カウント10は自分の諦めが数えるもの」って。

さてさて、41歳ですが、まだまだ戦いは続きます。